1.いわゆる日本猫とは?

ペットとして猫を迎え入れようと思ったとき、アメリカン・ショートヘアなどの血統猫はキャッテリーやペットショップから譲り受けることができるわけですが、日本猫が好き!と思っても見分けることはなかなか困難です。
日本の野良猫間で外来種との交配が進んでしまった状況にあるわけですが、日本の家庭に外来種の猫が迎えられてすでに半世紀。犬猫研究の第一人者であった動物学者・故 平岩米吉氏によると、1956年(昭和31年)、三笠宮殿下とタイ国大使の支援により日本初の愛猫団体「日本シャム猫クラブ」が設立されたといいます。
現在では、特に都市部において猫の「室内飼い」は常識的になりましたが、ほんの十数年前は犬も猫も野外で飼うのが一般的でした。ペット事情の記事でペット可のマンション供給率を挙げましたが、首都圏のペット可物件は10年前1%、2006年は75%という状況です。
外来種との交配が進んでいる原因としては
我々日本人には日本猫を定義する・守るという観念が一般的でなかったこと。
そして、猫はまだ人間による繁殖の歴史が浅く、犬ほど種類による容姿の違いがないため日本猫の区別がしにくいこと。
ここ数年の間にペット・リテラシーが次第に高まり、猫の室内飼い、地方自治体とボランティアにより野良猫を地域猫として扱い共生する考え方などが実践されはじめていますが、日本猫を保存することとは別次元。まずは不幸な野良猫を増やさないことが大前提であって、日本猫を統制・保存するなどという段階はまだまだ先のことと思います。
ちょっと猫に詳しい方なら「ジャパニーズ・ボブテイル」という猫種をご存知かと思いますが、これは1970年代にアメリカでCFAスタンダード化されたものであり、他の猫種と類似を避けるために、その定義は本来の日本猫の特徴を狭義に捉えたものといえます。(CFAのブリード情報には、スタンダード化するために類似を避けたことが述べられている。詳しいスタンダード内容は後述。)
それでは、我々「日本人が愛してきた日本猫」とはどんな猫だったのでしょうか?外来種が増え、ジャパニーズ・ボブテイルが登場した当時、すでに日本猫保存の状況を見越して平岩米吉氏が猫研究書「猫の歴史と奇話」をまとめています。
「猫の歴史と奇話」のまえがきおよび巻末において氏は、単純に日本猫のスタンダードをまとめるのではなく、国内外問わずありとあらゆる猫の情報を調べ上げたうえで、日本における猫の趣向、人との触れ合い、世相との関連といった歴史を捉え、日本人が好んできた日本猫を整理した、ということを述べています。
つまり「日本人が昔から愛してきた猫こそが日本猫である」という整理であり、いわば温故知新。猫ブームの中で純血種の人気が高まっている時代ですが、日本土着の猫を尊ぶことは極めて自然なことですし、幸いにしてそのような猫たちはまだ数多く日本にいます。

そこで何回かに分け、平岩米吉氏の研究内容、ジャパニーズ・ボブテイルのスタンダード、日本の土着猫について少し掘り下げてみたいと思います。


つづく

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